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「歩くたびに疲れるのはなぜ?」脳卒中後の“頑張りすぎる歩き方”とは
はじめに:「少し歩いただけで疲れる…」そんな悩みはありませんか?
脳卒中後、
- 「少し歩いただけで疲れてしまう」
- 「歩くたびに力が入ってしまう」
- 「外出するとすぐにしんどくなる」
このような悩みを抱えている方は非常に多くいらっしゃいます。
実際には筋力が大きく低下しているわけではなくても、「歩くだけで疲れる」という状態になることがあります。
これは単なる体力不足ではなく、
身体の使い方やバランス、重心移動などが関係していることが多いです。
脳卒中後の歩行では、無意識のうちに“余計な力”を使ってしまっている場合があります。
今回は、脳卒中後に歩くと疲れやすくなる理由と、その背景にある身体の使い方について、専門的な視点からわかりやすく解説していきます。

なぜ脳卒中後は「余計な力」を使ってしまうのか?
脳卒中後は、麻痺や感覚低下、バランス能力の低下などによって、以前と同じように体をコントロールすることが難しくなります。すると脳は、「転ばないようにしよう」「なんとか歩こう」と無意識に身体を緊張させるようになります。
その結果、
- 肩に力が入る
- 足を必要以上に持ち上げる
- 体を固めて歩く
といった状態が起きやすくなります。つまり、本来なら必要ない筋肉まで使いながら歩いている状態です。これが「歩くだけで疲れる」大きな原因になります。
麻痺側に乗れないことで余計に疲れる
脳卒中後は、麻痺側に体重を乗せることが難しくなる方が多くいます。
すると、 良い方の足ばかりに頼る歩き方になりやすくなります。
一見、安全なように見えても、非麻痺側への負担増加や左右差の拡大・バランス調整の増加によって、実は非常に疲れやすい歩き方になります。
麻痺側で支える時間が短くなる
研究でも、脳卒中後の歩行では、
麻痺側立脚期の短縮・歩幅低下・歩行速度低下 が起きやすいことが報告されています。
これは、麻痺側で十分に支えられないため、「早く良い方の足に戻りたい」という状態になっているためです。
歩行効率が低下しやすい
その結果、
重心移動効率低下・推進力低下・エネルギー消費増加が起きやすくなります。つまり、一歩進むために必要以上に体力を使っている状態です。
さらに、麻痺側を避け続けることで、「麻痺側を使わないクセ」が強くなり、歩行効率がさらに低下してしまいます。

「力み」が強いほど歩行は疲れやすくなる
「転びたくない」「しっかり歩かなきゃ」と思うほど、体には力が入りやすくなります。しかし実際には、力みすぎることで動きが硬くなり、余計に疲れやすくなることがあります。例えば、肩をすくめながら歩く、手を強く握る、膝を伸ばしすぎるなどはよく見られるパターンです。
脳卒中後、手足をコントロールする神経伝達がスムーズにいかなくなると、脳は「転倒」という最大のリスクを避けるために、ある指令を出します。それが全身を固めて安定させようとする「過剰な緊張」です。
- 連合反応: 麻痺側の足を動かそうとする際、無意識に肩が上がったり、手が握り込んでしまったりする現象。
- 代償動作: 動きにくい部分を補うために、他の筋肉を過剰に使うこと(例:腰を高く持ち上げて足を振り出すなど)。
これらは本来、歩行には不要な「余計なエネルギー消費」です。例えるなら、「常にブレーキを踏みながらアクセルを全開にしている車」のような状態。これではすぐにガス欠(疲労)を起こしてしまうのも無理はありません。

実は「体幹」が大きく関係している
歩行で疲れやすい方の多くに共通しているのが、体幹の不安定さです。体幹は、手足を動かすための「土台」です。この部分が不安定になると、左右に揺れる、バランスを取るために余計な力が必要になる、足だけで頑張る歩き方になるといった問題が起きます。
特に脳卒中後は、体幹と手足の連動が崩れやすく、歩幅が狭くなる、推進力が出にくい、一歩一歩が重たくなることがあります。その結果、「すぐ疲れる」という感覚につながっていきます。
また、脳卒中後歩行において、歩行速度低下や推進力低下には、足だけでなく体幹や重心移動能力も大きく関与している可能性が示されています。
※体幹と手足の関係については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
👉 「足が重い、手が上がらない」原因は体幹かも?脳卒中後に多い5つの悩み
歩行は「筋力」だけでは変わらない
「もっと筋力をつけないといけない」
そう思われる方も多いですが、実際には筋力だけの問題ではありません。
歩行には、
- 重心移動
- 感覚入力
- タイミング
- バランス
- 体幹の安定
など、さまざまな要素が関係しています。
歩行を楽にする自主トレーニング
👆こちらの動画では、歩行時の“一歩目”を出しやすくするための重心移動練習を紹介しています。歩行時に、足が出しづらい・一歩目が怖い・麻痺側に乗りにくいという方にもおすすめです。
ただし、無理に頑張りすぎることで、逆に力みやクセが強くなる場合もあります。大切なのは、「正しく体重を乗せる感覚」を繰り返し学習することです。
まとめ:「頑張りすぎる歩き方」から抜け出すことが大切

脳卒中後に歩くと疲れやすくなる背景には、麻痺側への荷重不足、力み、体幹の不安定さ、バランス能力低下など、さまざまな要因があります。そして多くの場合、「頑張って歩いている」状態になっています。
しかし、歩行は「頑張る」だけではなく、効率よく動ける身体の使い方を学ぶことが重要です。実際に、身体の使い方が変わることで、歩くのが楽になる、疲れにくくなる、外出しやすくなるといった変化が見られることもあります。
「歩くだけで疲れてしまう」「もっと楽に歩けるようになりたい」という方は、お気軽にご相談ください。一人ひとりの状態に合わせて、最適なリハビリをご提案いたします。
