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「足が重い、手が上がらない」原因は体幹かも?脳卒中後に多い5つの悩み
はじめに

リハビリの中で、こんな風に言われたことはありませんか?
「体幹をしっかりさせましょう」 「体幹が少し弱いですね」
しかし、「手足を動かしたいのに、なぜ体幹なの?」「弱いと何が困るの?」と疑問に思う方も多いはずです。
実は、体幹はすべての動きの「土台」です。 家でいえば「基礎」の部分。土台がグラグラしていると、その上の柱(手足)をいくら動かそうとしても、うまく力が入らず安定しません。
この記事では、体幹が弱いことで起きる脳卒中後特有の5つの問題を、専門家の視点でわかりやすく解説します。
「だから体幹が大事なんだ!」という納得感が、リハビリを前進させる第一歩になります。
「体幹」とはどこのこと?
まず、「体幹」とは具体的にどこのことを指すのでしょうか?
一言でいうと、腕・足・頭を除いた「胴体」のすべてを指します。
具体的には、
- 胸・背中
- お腹
- お尻・骨盤まわり
これらをひとまとめにした、まさに身体のセンター(中心部)のことです。
リハビリの世界で体幹が重要視されるのは、ここが身体を支える「土台」だからです。
家に例えると、体幹は「基礎や大黒柱」のような存在。 もし家の土台がグラグラしていれば、いくら立派な壁や屋根(手足)を作っても、建物全体が不安定になってしまいますよね。
体も全く同じです。 土台である体幹がしっかりしていないと、手足にうまく力が伝わらず、あらゆる動作に影響が出てしまうのです。

出典:梶浦一郎・紀伊克昌・鈴木恒彦 編:脳卒中の治療・実践神経リハビリテーション
参考文献においても、体幹の安定性は手や足の運動や姿勢の調整に影響することが示されています。
体幹が弱いと起きやすい5つの問題
体幹(土台)が弱くなると、日常生活のあちこちで「動かしにくさ」や「不安定さ」を感じるようになります。 ここでは、脳卒中後に多く見られる代表的な5つの問題について紹介します。
① 座っている姿勢が崩れる(体が傾く)
椅子や車椅子に座っているとき、いつの間にか身体が斜めになっていませんか?
- 麻痺側にズルズルと倒れてしまう
- 倒れないように非麻痺側へ極端に寄りかかる
これらは、身体を真っ直ぐに保つための体幹筋が十分に働けていないサインです。姿勢が崩れたままだと、肩や腰に余計な痛みが出たり、手足がさらに動かしにくくなったりする二次的な問題にもつながります。
② 立ち上がりが不安定になる
「立ち上がる」という動作は、まず上半身を前に倒すことから始まります。しかし、体幹が弱いとこのコントロールが難しくなります。
- お辞儀をするのが怖くて、お尻が上がらない
- 勢いをつけて立とうとして、足元がふらつく
土台がしっかりしていないと、重心をスムーズに移動させることができず、転倒への不安を強く感じる原因になります。
③ 歩くときにフラフラしてしまう
「歩行」は足だけで行っているわけではありません。
- 歩くたびに左右に大きく揺れる
- 真っ直ぐ歩こうとしても、進路が逸れてしまう
体幹がグラグラしていると、歩くたびにバランスを立て直さなければならず、結果として転倒のリスクが高まるだけでなく、効率の悪い歩き方になってしまいます。
④ 手がスムーズに伸びない
意外かもしれませんが、「手の使いやすさ」は体幹の安定感で決まります。
- 手を伸ばそうとすると、身体まで一緒に傾いてしまう
- 指先の細かい作業をするとき、肩にグッと力が入ってしまう
「動かないのは手だけのせい」と思われがちですが、実は土台である体幹が安定することで、肩や腕の力が抜け、驚くほど手が動かしやすくなるケースは非常に多いのです。
⑤ とにかく疲れやすくなる
体幹が弱いと、本来なら使わなくていい筋肉を使って、無理やり身体を支えようとします。
- 少し動いただけで、息が上がるほど疲れる
- 長い時間、姿勢を保っていられない
「最近、体力が落ちたな」と感じている方は、実は筋肉量の問題ではなく、体幹の弱さによる影響が考えられるかもしれません。
体幹が弱くなる原因とは?

では、なぜ体幹が弱くなってしまうのでしょうか。
脳卒中後には、いくつかの原因が重なっていることが多いです。
麻痺の影響
一番の大きな原因は、脳の損傷によって、筋肉を動かすための神経指令がうまく伝わらなくなることです。
特に、無意識に身体を支えるための「姿勢保持筋(インナーマッスル)」は、脳卒中の影響を非常に受けやすい部分です。麻痺側の筋力が低下するだけでなく、身体を真っ直ぐに保つためのセンサー機能も低下してしまいます。
麻痺側を使わない習慣
無意識のうちに、「麻痺側を避ける」・「非麻痺側(良いほう)ばかり使う」習慣になっていませんか?
このような習慣が続くと、麻痺側の体幹筋はますます使われなくなり、筋力の低下が進んでしまいます。これが、さらにバランスを崩しやすくする「負のループ」を生んでしまうのです。
崩れた姿勢の定着
長時間、椅子に斜めに座ったり、どこかに寄りかかったりする姿勢が続くと、筋肉は「その形で固まって」しまいます。
体幹は「使わないと、使い方も忘れてしまう」という特性があります。崩れた姿勢が当たり前になると、脳が「真っ直ぐ」がどこなのか分からなくなり、体幹を働かせる機会がどんどん失われていくのです。
姿勢は、体幹の働きと深く関係しています。
体幹を整えることで起きる変化
体幹を整えることで、体にはさまざまな良い変化が起きる可能性があります。
例えば、
- 座る姿勢が安定する
- 立ち上がりが楽になる
- 歩きやすくなる
- 手が使いやすくなる
- 疲れにくくなる
といった変化です。
体幹は、すべての動作の「土台」となる部分です。
動きのすべては「土台」から 体幹は、すべての動作の出発地点です。 ここが整うことで、バラバラだった身体の動きが一つのチームのように機能し始めます。土台を整えることは、「毎日をより楽に、アクティブに変えること」に直結しているのです。

今日から意識できる3つのポイント
- 「座り方」を見直す: 左右のお尻の骨(坐骨)に、均等に体重が乗っていますか?「真っ直ぐ座る」こと自体が、立派な体幹トレーニングになります。
- 深呼吸を取り入れる: 体幹のインナーマッスル(横隔膜など)は、呼吸と深く連動しています。ゆっくり深く息を吐くだけでも、身体の内側から安定感が高まります。
- 「触れて」確認する: 麻痺側のお腹や腰に手を当て、動くときに筋肉が反応しているか感じてみましょう。意識を向けることで、脳からの指令が通りやすくなります。
日常生活での食事している姿勢やテレビを見ている姿勢など普段の姿勢を少しでも意識することで少しずつ身体の変化に繋がります。
まとめ:動きの「土台」を整えて、もっと自由な毎日へ
体幹は、私たちの身体を支え、あらゆる動作の起点となる大切な「土台」です。
脳卒中後に感じる「姿勢の崩れ」「立ち上がりの不安定さ」「歩行のふらつき」……これら一見バラバラに見える悩みも、実は体幹という土台の弱さが共通の原因になっていることが少なくありません。
しかし、諦める必要はありません。 体幹の働きを一つずつ丁寧に整えていけば、
- 動作に安定感が生まれる
- 手足がもっとスムーズに動く
- 日々の生活が驚くほど楽になる
といった、ポジティブな変化が必ず見えてきます。
「最近、身体が安定しないな」と感じているなら、それは身体の土台を見直すべきサインかもしれません。
手足の動きだけに目を向けるのではなく、まずは身体の中心である「体幹」を整えること。それが、より安心して、自分らしく生活するための大きな第一歩につながります。

「自分の体幹の状態を知りたい」という方へ
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