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【専門家が解説】脳卒中後に転びやすくなる5つの原因と今すぐできる対策
はじめに
脳卒中(脳梗塞・脳出血)を発症し、病院での集中リハビリを終えてご自宅での生活が始まると、多くの方が直面する大きな壁があります。それが「転倒への恐怖」です。
「最近、家の中でヒヤッとすることが増えた」 「足元がふわふわして、一人で歩くのが怖い」 「一度転んでから、外出するのが億劫になってしまった……」
このように感じてはいませんか? 転倒は単に痛い思いをするだけでなく、骨折による再入院や、それをきっかけとした「寝たきり」への入り口になる可能性を秘めた、非常に重要な問題です。しかし、転倒は決して「運が悪かった」わけではありません。そこには脳と体の連携における明確な「原因」があります。
今回は、リハビリの専門家としての視点から、脳卒中後に転びやすくなる原因と対策を詳しく解説します。

一度の転倒で終わらない?繰り返す原因は?
脳卒中後の転倒は、一度だけでなく繰り返して起こるケースが多いと報告されています。
脳卒中の方は他の疾患に比べて転倒の頻度が高く、
さらに転倒した人の中には複数回転倒する方も多いことが示されています。
これは、転倒の原因が一つではなく、
- バランスの不安定さ
- 歩き方の問題
- 身体の使い方
など、複数の要因が関係しているためです。
そのため、転倒を防ぐためには、
「転ばないように気をつける」だけでなく、
身体の使い方や動きそのものを見直していくことが重要になります。
※脳卒中後の転倒に関する研究においても、転倒は複数の要因が関与し、繰り返して起こることが多いと報告されています。
出典:梶山 哲・伊東 祐輔・狩生 直哉,回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の転倒回数に影響する因子の検討,九州理学療法士学術大会2023 ▶文献はこちら
なぜ転ぶ?脳卒中後に特有の「5つの身体的要因」
脳卒中後の身体は、私たちが思う以上に複雑な変化を起こしています。まずは「なぜ転びやすいのか」という敵の正体を知ることから始めましょう。
- 麻痺側への荷重不足: 無意識に「麻痺側は頼りない」と感じ、良い方の足ばかりに頼って歩くようになります。重心が常に左右に大きく揺れるため、ふらついた瞬間に支えきれなくなります。
- 土台となる体幹の不安定さ: 体幹の筋肉が左右均等に働かないと、手足を動かすたびに上半身がグラグラと揺れます。柱が揺れている建物と同じで、足だけを鍛えてもバランスは保てません。
- つま先の引っかかり(クリアランス低下): 麻痺の影響でつま先が下を向いたまま(尖足)になると、床とのわずかな隙間がなくなり、小さな段差や絨毯の縁でつまずきやすくなります。
- 「立ち直り反応」の遅れ: バランスを崩した瞬間、脳が「パッ」と足を一歩出す指令を送ります。脳卒中後はこの反応が遅れることがあり、体勢を立て直せずに転倒してしまいます。
- 過剰な「力み」による硬直: 「転んではいけない」と緊張して体に力が入りすぎると、竹のようにしなって衝撃を逃がすことができず、丸太が倒れるように一気にバランスを失います。

生活の中に潜む「魔の場面」と環境の落とし穴
リハビリ室のような手すりが完備された平坦な場所とは違い、日常生活には多くの「転倒スポット」が隠れています。
〇方向を変えるとき
声をかけられて振り向く時や角を曲がるといった動作は、重心移動と体のねじれが同時に起きるため、最もバランスを崩しやすい瞬間です。
〇立ち上がりの瞬間
勢いで立とうとすると、重心が足の裏に乗る前に体が浮いてしまい、後ろへひっくり返りそうになります。
〇トイレや夜間の移動
「間に合わないかも」という焦りと、暗さによる視覚情報の低下が重なります。足元が見えにくい状況では、脳はバランスを保つのが非常に難しくなります。
〇わずかな段差と滑りやすさ
ご自宅の玄関、絨毯の縁、あるいは脱衣所のマット。これら小さな環境の不備が大きな事故を招きます。
今日からできる!転倒を防ぐ3つの意識

①麻痺側の足で「地面を感じる」
転倒を防ぐための第一歩は、麻痺側の足を「動かない者」ではなく、「自分を支えてくれるパートナー」として再教育することです。
長い距離を歩く練習の前に、まずは「立ち止まった状態で麻痺側に体重を乗せる」感覚を養いましょう。 手すりを軽く持った状態で、じわ~っと麻痺側の足の裏全体で地面を踏みしめてみます。「体重を乗せても大丈夫なんだ」と脳が安心感を学習すると、歩行時のふらつきは自然と軽減されていきます。
②視線の位置を少し上げる
ふらつきを抑えるためには、足元の動きだけでなく「上半身の姿勢」に目を向けることが重要です。
- 視線の位置を上げる: 足元を気にしすぎて下を向くと、背中が丸まり重心が前に偏ります。2~3メートル先を見るように視線を上げると、自然と背筋が伸びてバランスが安定します。
- 左右のバランスをチェック: 鏡の前に立ち、肩の高さが揃っているか確認しましょう。「真っ直ぐ立っているつもり」でも、体は傾いているものです。視覚的に修正することで、脳の中の「正しい姿勢の地図」を書き換えていきます。
③動作を「ゆっくり・丁寧」に
リハビリで最も大切なのは「回数」よりも「質」です。焦って歩くことは、実は脳に「間違った(効率の悪い)歩き方」を定着させてしまうリスクがあります。
動作を「一歩出す」「しっかり支える」というように分断して、丁寧に行いましょう。ゆっくり動くことは、筋肉をコントロールする神経を細かく使う練習になります。この「丁寧な反復」こそが、新しい神経回路を作り、結果として転ばない身体を作る最短ルートなのです。
安心して歩ける身体へ|NOVAの専門リハビリ

自分一人でのトレーニングは、どうしても「変なクセ」が強くなりがちです。そこで重要なのが、専門家による客観的な分析と介入です。
沖縄リハビリテーションステーションNOVAでは、単なる筋トレではなく、以下の専門アプローチを行っています。
- ハンドリング技術: 療法士が直接身体に触れ、正しい動きの感覚を脳にインプットします。
- 根本原因の特定: 「ふらつきの原因は足首か、それとも体幹か?」を見極め、あなただけの解決策を提案します。
💡 もっと詳しく知りたい方へ
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まとめ:もう一度、安心して歩ける未来へ
脳卒中後の転倒は、正しい知識とアプローチでリスクを劇的に減らせます。 「もう歳だから」「発症から時間が経ったから」と諦める前に、まずは自分の「身体の使い方」を見直してみませんか?
私たちは、あなたが自信を持って一歩を踏み出せるまで全力でサポートします。少しでも不安を感じたら、お気軽にNOVAまでご相談ください。
