はじめに
脳卒中を経験された方やご家族様から、よくいただくご相談があります。
「もう回復しないのでしょうか」
「リハビリはいつまで続けるべきですか」
「何年も経っているけど、今からでも良くなりますか」
退院してしばらく経つと、病院でのリハビリが終わり、「ここまでが限界」と感じてしまう方も少なくありません。
しかし結論から言うと、脳卒中後の回復は何年経っても可能性があります。
適切なリハビリを続けることで、身体の動きや生活の質が改善するケースは多く見られます。
さらに、慢性期のリハビリでは、むしろ長年の代償を外すことで単発での大きな変化が見られることがあります。
これまで無意識に頼っていた身体の使い方を見直すことで、新しい動きが引き出されるためです。
一方で、これまで固定して使っていた部分を外すことで、一時的にゆるさや重さを感じたり、動きづらさが出ることもあります。
そのため、実際の身体の状態を評価しながら、ご本人・ご家族様としっかり話し合いながら進めていくことが重要になります。
この記事では、脳卒中後の回復について
・回復はいつまで続くのか
・慢性期でも改善する理由
・回復を左右するポイント
をわかりやすく解説します。
脳卒中の回復はいつまで続くのか

脳卒中の回復は一般的に、急性期・回復期・生活期(慢性期)という流れで考えられます。
回復期は身体機能の変化が出やすい時期として知られていますが、ここで重要なのは「回復はこの時期だけで終わるものではない」という点です。
生活期に入ってからも、身体の使い方や動作の質は変化していきます。実際に、退院後にリハビリを継続することで、歩行や手の動き、姿勢などが改善していくケースは多く見られます。
つまり回復は「期間」で区切られるものではなく、取り組み方によって変化し続けるものです。
慢性期でも回復する理由
脳卒中後の回復が長く続く理由は、脳の働きにあります。
脳には「可塑性」と呼ばれる性質があり、ダメージを受けた部分の代わりに別の神経回路を使って機能を補おうとします。
リハビリを繰り返すことで、この神経回路が強化され、身体の動きが改善していきます。
つまり回復とは
脳が新しい身体の使い方を学び直していくプロセス
です。
ここで、脳卒中後の回復の流れを示した図をご紹介します。
回復は「最初だけ」で終わるものではありません。

出典:Hatem SM et al., Frontiers in Human Neuroscience (2016)
https://www.frontiersin.org/journals/human-neuroscience/articles/10.3389/fnhum.2016.00442/full
※英語の論文ですが、Google翻訳などを使うことで日本語でもご確認いただけます
(脳卒中後の回復は長期的に続く可能性があることが報告されています)
この再学習は時間が経っても続くため、慢性期であっても改善が見られるのです。
実際に慢性期でも改善するケース

慢性期においても、さまざまな改善が見られます。
歩行では、最初は不安定だった方が安定して歩けるようになったり、歩様が綺麗になったり、歩行距離が伸びたりすることがあります。
手の機能では、スプーンやお箸が使えるようになる、字が書けるようになる、パソコンが打てるようになるなど、細かい動作がしやすくなったり、日常生活動作がスムーズになることがあります。
また、姿勢やバランスが整うことで、疲れにくくなったり転倒のリスクが減ったりすることもあります。
こうした変化は一度に大きく起こるものではなく、日々の積み重ねの中で少しずつ現れてきます。
しかし、この積み重ねが生活の質を大きく変えるきっかけになります。
回復しにくくなる原因

慢性期で回復が停滞してしまう背景には、いくつかの要因があります。
まず大きいのが、身体を動かす機会が減ることです。
活動量が少なくなると、筋力やバランス能力が低下し、動きにくさが強くなってしまいます。
また、自己流の動きが習慣化してしまうことも影響します。
身体のバランスが崩れたまま動作を繰り返すと、効率の悪い動きが定着してしまうことがあります。
さらに、「リハビリは終わったもの」と考えてしまうことも回復の妨げになります。
継続的な取り組みがなくなることで、改善の機会を逃してしまう可能性があります。
慢性期リハビリで大切なこと

慢性期において回復を目指すためには、いくつか重要な視点があります。
まず、リハビリは継続することが重要です。
短期間で結果を求めるのではなく、長期的な視点で取り組むことが必要になります。
次に、リハビリの質も重要です。
単に身体を動かすだけでなく、正しい身体の使い方を意識することで、効率よく改善を目指すことができます。
さらに、日常生活の中で身体を使うことも大切です。
歩く、立ち上がる、物を持つ、動作指導を受けたように手足を使う、物品を使うといった動作の中にリハビリの要素が含まれています。
日常生活が回復を大きく左右する
慢性期では、リハビリの時間だけでなく日常生活の過ごし方が回復に大きく影響します。
例えば、外出の機会が増えると歩行の機会が増え、自然と身体を使う時間が長くなります。
また、家の中でも立ち上がりや移動の回数が増えることで、身体機能の維持・向上につながります。
逆に、動く機会が少なくなると身体の機能は低下しやすくなります。
そのため、無理のない範囲で日常生活の中に「動く時間」を増やすことが大切です。
沖縄でできる慢性期リハビリの選択肢
沖縄でも、退院後にリハビリを継続するための環境は整ってきています。
訪問リハビリでは、自宅で生活に合わせたリハビリを受けることができます。
通所リハビリでは、施設に通いながら運動や練習を行います。
さらに、自費リハビリでは時間や内容の制限が少なく、より個別性の高いリハビリを受けることができます。
それぞれの特徴を理解し、自分の目標や生活スタイルに合った方法を選ぶことが重要です。

関連記事は画像をタップ👆
回復を引き出すために大切な考え方
慢性期のリハビリで大切なのは、「今の身体でもできることは増やせる」という視点です。
脳卒中後の身体は、発症前とは異なる状態になります。しかし、その状態に合わせた動き方を学ぶことで、新しい形での動作が可能になります。
つまり回復とは「元に戻ること」だけではなく、新しい身体の使い方を身につけることでもあります。
この視点を持つことで、リハビリの取り組み方が大きく変わります。
まとめ

脳卒中後の回復は、何年経っていても可能性があります。
慢性期であっても
・脳の再学習
・継続的なリハビリ
・日常生活での身体活動
によって、身体の機能や生活の質を高めることができます。
回復は一歩ずつの積み重ねです。
焦らず、今できることから取り組んでいくことが大切です。





コメント