脳卒中 当事者向け

脳卒中当事者の方の歩行の特徴とリハビリのポイントを解説

脳卒中は、突然脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こり、身体のさまざまな機能に影響を及ぼします。その中でも、歩行障害は脳卒中後によく見られる症状の一つです。脳卒中後遺症当事者の方の歩行には独特の特徴があり、リハビリや日常生活においても特別なケアが必要です。ここでは、脳卒中後遺症当事者の方の歩行の特徴と、リハビリの重要性について詳しく解説していきます。

脳卒中の症状

脳卒中による片麻痺は、脳の損傷によって体の片側に麻痺が生じる症状です。脳卒中が発生した側と反対側の体に麻痺が現れることが多く、運動機能や感覚、バランスに影響を与えます。ここでは、脳卒中による片麻痺の主な症状を詳しく説明します。

1. 運動麻痺(運動機能の低下)

片麻痺の特徴的な症状として、運動機能の低下があります。これは、脳卒中によって脳が筋肉をコントロールする能力が損なわれるために発生します。

  • 片側の筋力低下: 片側の腕や足が思うように動かせなくなり、日常動作が困難になります。物を持ち上げたり歩いたりすることが難しくなります。
  • 微細運動の困難: 指や手先の細かい動きが困難になり、ボタンを留めたり、書くことが難しくなります。
  • 硬直・痙縮(けいしゅく): 麻痺側の筋肉が異常に緊張し、動きがぎこちなくなったり、関節が固まってしまうことがあります。これにより、腕や足が思うように動かせなくなることがあります。

2. 感覚障害

脳卒中による片麻痺では、運動だけでなく、感覚にも障害が出ることがあります。これにより、麻痺側の体の感覚が鈍くなることがあります。

  • 触覚や痛覚の低下: 麻痺側の皮膚の感覚が鈍くなり、触っても気づかなかったり、痛みを感じにくくなることがあります。
  • 位置感覚の低下: 麻痺側の手足の位置や動きがわからなくなり、自分の手や足がどこにあるかを感じにくくなることがあります。

3. バランス障害

片麻痺があると、体の片側にうまく力が入らないため、バランスを取ることが難しくなります。

  • 立ち上がりや歩行の不安定さ: 麻痺側の足に体重をかけるのが難しいため、立ち上がるときや歩くときにふらつきや転倒のリスクが高まります。
  • 座った状態でもバランスを保つのが難しい: 椅子に座っている状態でも、体が片側に傾くことがあり、支えが必要になる場合があります。

4. 筋肉の萎縮

片麻痺が長期間続くと、使われない筋肉が萎縮し、筋力がさらに低下することがあります。特に、麻痺側の手足が動かない場合、筋肉が徐々に小さくなってしまうことがあります。

5. 協調運動障害

麻痺側の手足が協調して動かすことが難しくなる場合があります。これは、脳の損傷によって、体の動きをスムーズにコントロールする能力が失われるためです。

  • 歩行時に足をぶん回して前に出す: 足をスムーズに前に出せないため、麻痺側の足を大きく回して振り出すような動きが見られます。
  • 手足がぎこちなく動く: 手足を動かそうとしても、ぎこちない動きになったり、スムーズに動かせないことがあります。

6. 言語障害(失語症)

片麻痺に加えて、言語障害(失語症)が現れることもあります。特に、左脳が損傷を受けた場合、言語を司る機能に影響が出やすくなります。

  • 話しにくい: 言葉を思い浮かべるのが難しくなったり、言いたいことがうまく言葉にならないことがあります。
  • 理解力の低下: 他の人の話を理解することが難しくなる場合もあります。

脳卒中当事者の方の歩行の特徴

脳卒中による歩行障害は、片側の手足に麻痺が現れる片麻痺が一般的です。これにより、左右の足の動きが異なる歩行になることがあります。

1. はさみ足歩行

脳卒中の影響で、足が内側に向き、膝がくっつくように歩くことがあります。このような歩行を「はさみ足歩行」と言います。これは、筋肉が過度に緊張すること(痙縮)が原因で、歩行時に足が内側に引き寄せられてしまうためです。

2. 尖足歩行(つま先歩行)

片麻痺がある場合、足首をうまく動かすことができず、つま先が地面に引っかかることがあります。その結果、つま先を下げたまま歩く「尖足歩行」が見られます。足を引きずるように歩くことで転倒のリスクが高くなってしまいます。

3. ぶん回し歩行

脳卒中による片麻痺では、歩行中に麻痺している側の足をまっすぐ前に出すのが難しいため、足を外側に大きく円を描くように振り出すことがあります。

4. 歩幅が狭い・歩行速度が遅い

脳卒中後、歩幅が狭くなることや歩行速度が遅くなることがあります。これは、両足の筋力差や、足を持ち上げる力やバランスを保つ能力が低下しているためです。また、歩行中に何度も休む必要があったり、片方の足に強く頼る歩行になることもあります。

脳卒中当事者の方の歩行リハビリの重要性

歩行能力を回復するためには、早期のリハビリが非常に重要です。リハビリは、筋力やバランス感覚を改善するだけでなく、脳の再学習を促進し、失った運動機能の回復をサポートします。

1. ストレッチと筋力トレーニング

足や股関節の筋力を強化するためのリハビリが重要です。麻痺側の筋力を少しでも取り戻すために、柔軟性を高めるストレッチや、体幹を鍛えるエクササイズが行われます。

2. バランストレーニング

脳卒中後の歩行は、バランス感覚が低下していることが多いため、バランストレーニングもリハビリの重要な要素です。歩行時にふらつきや転倒を防ぐため、片足立ちや歩行時の重心移動を意識するトレーニングが行われます。

3. 歩行補助器具の使用

場合によっては、杖や歩行器などの補助器具を使用することで、歩行の安定性を向上させることができます。これにより、歩行速度が向上し、転倒のリスクも軽減されます。転倒することで、骨折などにより更なる身体機能の低下が懸念されるため、歩行補助具を使用して転倒を防ぐことが重要です。

まとめ

脳卒中後遺症の方の歩行障害は、片麻痺や筋力低下、バランス感覚の低下によって引き起こされますが、適切なリハビリを通じて改善が期待できます。リハビリは、筋力やバランスの回復を促すだけでなく、脳の再生能力を活用して機能を回復させる重要な手段です。

脳卒中後の歩行障害やリハビリについて理解を深め、適切な対応をすることで、患者さんの生活の質を向上させることができます。早期のリハビリ開始と、継続的なサポートが回復への重要になります。

沖縄リハビリステーション「NOVA」でも、脳卒中後遺症の回復に向けたリハビリテーション、栄養指導を含めた包括的なサポートを行っています。 お困りでしたら是非気軽にご相談ください。

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